アーカイブ: 2024年8月24日

高粘液粘性 (HMV) および非HMV 肺炎桿菌臨床分離株の表面糖鎖エピトープの違いをレクチンで見える化する

Department of Biological Physical Chemistry, Instituto de Química Física Blas Cabrera, Consejo Superior de Investigaciones Científicas, Madrid, Spainらのグループは、肺炎桿菌臨床分離株の自然免疫レクチン、シグレックやガレクチンを用いた認識について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11324429/

肺炎桿菌は、鼻咽頭や胃腸管に頻繁に定着する日和見細菌で、他の組織に侵入すると、特に免疫不全の人に重篤な感染症を引き起こす場合があります。
下図に示すように、シアル酸、ガラクトース、およびマンノースに特異的なレクチンによるこれらの細菌の認識には顕著な違い認められました。

排水処理で使用されるバクテリアが作り出すバイオフィルムについて

Department of Biotechnology, Delft University of Technology, The Netherlandsのグループは、排水処理で使用されるバクテリアが作り出すバイオフィルム(EPS)の解析について報告しています。
https://pubs.acs.org/doi/epdf/10.1021/acsestwater.4c00247

DNAの複製やそのタンパク質への翻訳とは異なり、糖鎖の生合成は既存のテンプレート分子によって指示されるわけではありません。糖鎖の生成は、生合成機構、利用可能な糖ヌクレオチド、細胞内および細胞外環境からのシグナル伝達など、幾つかの要因によって決定されます。 従って、糖鎖の存在は動的であり、遺伝的要因と環境的要因の両方の影響を受けるが故に、EPS の糖鎖組成を研究することは非常に困難です。

通常、環境サンプル中の糖タンパク質を研究するアプローチには、個々の糖鎖構造を同定し、質量分析でタンパク質を更に特徴付けることが含まれます。一方、レクチンマイクロアレイは、タンパク質表面上の糖鎖のハイスループットなプロファイリングが可能であり、考えられるタンパク質の糖鎖修飾パターンのより広範なスクリーニングを可能にします。
本研究では、両方のアプローチを組み合わせることによって、糖タンパク質の包括的な理解が可能となり、構造的特徴付けと機能的意味の間のギャップを埋めることができると結論付けています。

胚の着床には、胚と受容子宮内膜の糖鎖/レクチンの相互作用が必要

Shenzhen Key Laboratory of Metabolic Health, Center for Energy Metabolism and Reproduction, Shenzhen Institute of Advanced Technology, Chinese Academy of Sciences, Chinaのグループは、胚着床における糖鎖とレクチン相互作用の重要性について報告しています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2090123224003060?via%3Dihub

栄養膜L-セレクチンと子宮内膜sLeX間の相互作用は、胚着床の根底にある糖鎖修飾依存性の接着機構として報告されていますが、ヒト胚の栄養外胚葉で発現するSiglec-6が、sTnで覆われた受容子宮内膜を認識し、胚着床を促進しているということも今回発見されたようです。

抗リン脂質症候群患者のIgGの糖鎖修飾変化をレクチンマイクロアレイで調べる

Department of Rheumatology and Clinical Immunology, Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical College, Beijing, Chinaらのグループは、抗リン脂質症候群(APS)患者のIgGの糖鎖修飾変化をレクチンマイクロアレイで調査した結果を報告しています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sji.13366

APS患者のIgG複合体は、健常者コントロールおよび疾患コントロールと比較して、GalNAc残基の発現量が有意に増加していることが判明しました。このことは、IgG上のGalNAc修飾の上昇がAPSの進行に関与していることを示唆しています。
ただし、N-型糖鎖修飾と比較して、O-型糖鎖修飾がIgGの構造および機能に及ぼす影響については、未だ解明されていません。

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