創価大学らのグループは、ESCからエピブラスト様細胞(EpiLCs)への変化に伴う糖鎖修飾の変化と、その背景にあるPolycomb群タンパク質について報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-79666-4
ESCからEpiLCsへの変化に伴い、次のような糖鎖修飾の変化が起こります。
- N型糖鎖に関しては、両者に共通してHigh Mannose構造がメインであるが、EpiLCsでは、Fucose修飾、bisecting、Sia修飾が増加、Siaについては、α2-6がメインとなり、typeI LacNAc (Galβ1-3GlcNAc)にα1-2Fucが修飾されたSSEA-5が高発現する。
- O型糖鎖に関しては、両者に共通してTn抗原とO-GlcNAcがメインであるが、EpiLCsでは、総体的にO型糖鎖の発現が昂進しており、長鎖のムチン型O型糖鎖も増加する。
- Glycosaminoglycans (GAG)については、EpiLCsで総体的にGAGが昂進し、特にHeparan sulfate (HS), chondroitin sulfate (CS) and dermatan sulfate (DS)が増加する。
- 糖脂質については、EpiLCsでglobo (Gb)からganglio (Gg)への構造変化が起こる。
これらの糖鎖修飾構造の背景には、クロマチンタンパク質であるPolycomb群タンパク質2(PRC2)が制御因子として関係していることが示されました。ESCの糖鎖修飾にかかわる多様な糖転移酵素の遺伝子群がPRC2の制御下にあります。