新型コロナウイルス(COVID-19)においては、ワクチンの安全性・有効性の確認にはまだ時間がかかること、重症化を食い止める有効な治療薬がないことなどから、今更ながら免疫賦活栄養剤が着目されます。特に、65歳以上の高齢ではCOVID-19の重症化率が高くなることから、栄養免疫学研究の重要性と緊急性が上がっています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7211076/
COVID-19の致死率は年齢とともに上昇しますが、50~59歳で0.2%、60~69歳で0.4%、70~79歳で1.3%、80歳以上では3.6%となっているようです。
免疫賦活栄養剤として、特に着目されるのが、ビタミンC、ビタミンD、そして亜鉛です。それぞれの免疫賦活に関する知見を以下に示します。
ビタミンCの役割
ビタミンCは、肺炎の治療において有効であることが確認されています。ビタミンCは、免疫機能を担う白血球の一つである好中球の活性維持や増強に関与しているため、免疫機能を高め、ウイルスに対する抵抗力を高める効果があります。潜在的なメカニズムの観点から、感染症が酸化ストレスを増加させることはよく認識されています。感染症は通常、酸化剤である活性酸素を放出する食細胞を活性化します。ビタミンCは、これらの影響を打ち消すことができる有名な抗酸化物質となります。
ビタミンDの役割
ビタミンDの受容体は多くの免疫細胞に発現しており、ビタミンDは、肝臓で25(OH)D3に変換され、免疫細胞の働きで1,25(OH)2D3という活性形に変換されます。ビタミンDが欠乏すると、ウイルス急性呼吸器感染症のリスクが高くなり、ビタミンD代謝物は、インターフェロンIFN-γ、CXCL8、CXCL10らケモカイン、IL-6など炎症性サイトカイン、細胞壊死因子TNF-αの発現および分泌を変調することが知られています。
亜鉛の役割
亜鉛が欠乏すると、CD4+, CD8+ T-細胞の減少を伴った胸腺の萎縮、末梢血リンパ球数の減少、ヘルパーT-細胞からのサイトカイン産生の減少、NK細胞の細胞障害活性の低下、好中球細胞外トラップ(病原体に結合するネットワーク)の形成阻害など、細胞性免疫の機能低下が発生することが知られています。